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2021.07.12 コメント映像<田畑智子>編!




田畑智子コメント

 三池崇史さんが演出され、蓬莱竜太さんが脚本を書かれる。そうお聞きしたときから、ワクワクとドキドキが止まりませんでした。まず三池さんは、以前に一度、『夜叉ヶ池』という舞台でご一緒したことがあって、絶対にまた三池さんの演出作品をやりたいと思っていたんです。というのも、当時、私は舞台がまだ2作目で、作品自体も泉鏡花原作の奥の深いものだったので、自分は何もできなかったという心残りがあって。三池さんの演出には、舞台ってこんなにスタイリッシュでカッコよく作られるものかという驚きを感じつつも、あまりお話もできませんでしたから。リベンジではないですが(笑)、少しでも成長した自分を見てもらいたいなという気持ちがあるんです。
 また、蓬莱さんの脚本は、『母と惑星について、および自転する女たちの記録』の初演と再演で経験させていただいていて、思いが乗せやすい柔らかい言葉を使っていらっしゃって、台詞がすんなり入ってきた記憶があります。今回の脚本も、登場人物それぞれに、温度とか匂いとかその人が背負っているものが感じられて、蓬莱さんの言葉によって、キャラクターの色や形が浮き彫りになって、人間の厚みがより出ているような感じがします。読み始めたらノンストップで「もう終わってしまった!」という感じでしたし(笑)、これがどんなふうに立ち上がっていくのか、とても楽しみです。
『醉いどれ天使』については、恥ずかしながら今回初めて知りました。黒澤明監督の作品ということで身構えて観始めたんですけど、松永と真田のやりとりが心地よく、たまにそれが滑稽に見えることもあって、とても楽しく拝見しました。ほかの黒澤さんの作品もそうですが、人間として魅力的な人たちがたくさん出ているなという印象で、カメラワークなど作り方も斬新で。だから映画の原点と言われ、海外からも高い評価を受けているんだな、やはり観ておかなきゃいけないものだなと、改めて感じました。
 私が演じる美代も、その魅力的な人物たちのひとりです。彼女は、ある過去の出来事から身を隠すようにして真田の診療所に住み込みで働いているんですけど、脚本を読むと背中を丸めているイメージはなくて。その出来事は美代に相当なダメージを与えていると思うんですが、それでも前向きに生きていこうとしているんです。だから、ちゃんと地に足をつけて、スッと背筋を伸ばして、まっすぐ前を見てという感じで、舞台に立っていたいなと思います。もちろん過去に凄まじい経験をしてきたということもしっかり内に抱えながらですけど。でも、面倒見がいいところもありますし、芯の通った強く温かい女性に見えたらいいなと思っています。
 ビジュアル撮影は楽しかったですね。私自身、昭和レトロな感じが好きで、よく久世光彦さんの作品で戦中戦後の話を演じてきて慣れ親しんできた世界でもあるので、久々にこういう世界に入れるのは嬉しく、本番でもどんな格好ができるのか楽しみです。それから、撮影スタッフの方々のイメージをお聞きしながら、「美代はそんなふうにも見えるのか」という発見があったり。美代という人間を深く厚くしていけたらなと改めて思えて、とてもいい時間を過ごせました。
 これから稽古に入りますが、楽しみがいっぱいです。松永と真田のぶつかり合いは、きっと温かいものが生まれるでしょうし。生きようという熱を持った人たちがぶつかり合っていく物語なので、すごくいい相乗効果でお芝居が出来上がっていくんじゃないかと思うんです。今は大変な時期です。でも、舞台を観て少しでも忘れていただいて、その熱量を感じていただければと思います。